グリーフケアとは
大切な人を亡くした後、何も手につかない日が続くことがあります。眠れなかったり、涙が急にあふれたりして、戸惑う方も多いでしょう。
このページでは、市の保健センターや国の研究機関などの説明をもとに、悲しみとの向き合い方をまとめました。合う方法は人によって違うので、気になるところから読んでみてください。
思い出の写真を、花と一緒に棚に飾った見本(架空の人物)この記事でわかること
- グリーフとグリーフケアの意味と、悲しみが自然な反応であることがわかります。
- 大切な人を亡くした後に起こりやすい、心と体の変化がわかります。
- 悲しみとの向き合い方を、自分に合うものから選ぶ手がかりがわかります。
- 家族や友人として、周りの人ができることがわかります。
- つらさが長く続くときの目安と、最後に頼れる公的な窓口がわかります。
グリーフケアとは?
グリーフケアとは、大切な人を亡くした人の悲しみに寄り添い、その人が自分の暮らしを取り戻していけるよう支えることです。山梨県は、喪失を経験した人の悲しみに寄り添い、立ち直って自立できるよう支えることと説明しています。
グリーフ(悲嘆)
大切な人を亡くしたときに起こる、心や体のさまざまな反応のことです。豊中市保健所は、自然な反応だと説明しています。
グリーフケア
悲しんでいる人のそばにいて、話を聞いたり、暮らしを手伝ったりする支えのことです。
誰がするのか
家族や友人、地域の保健師、医療や心の専門家など、さまざまな人が関わります。自分で自分をいたわることも含まれます。
八潮市保健センターは、グリーフは死別だけでなく、病気や引っ越しなどの喪失でも起こると説明しています。このページでは、大切な人を亡くしたときのことを中心にお伝えします。
大切な人を亡くした後に起こりやすい変化は?
大切な人を亡くした後には、心だけでなく、体や行動にもさまざまな変化が起こることがあります。豊中市保健所や名取市保健センターは、次のような変化を挙げています。
心の変化
何も感じられない、自分を責める、怒りがわく、急につらくなる、などです。
体の変化
眠れない、食欲が落ちる、疲れやすい、頭痛や肩こり、動悸などです。
行動の変化
人に会いたくない、集中できない、小さなことが決められない、などです。
四街道市は、すべての変化が出るわけではなく、出る順番や時期も人それぞれだと説明しています。当てはまらない変化があっても、心配はいりません。
ふだんの写真と、家族で写った写真の見本(架空の人物)この気持ちは普通のこと?
大切な人を亡くしたときの悲しみやつらさは、多くの人に起こる自然な反応です。豊中市保健所は「グリーフ(悲嘆)は自然な反応です。」と伝えています。
- 涙が止まらない日も、何も感じない日もあります
- 故人を探してしまったり、声を思い出したりすることもあります
- 怒りや後悔がわいても、おかしなことではありません
- 笑える日があっても、故人を忘れたわけではありません
日本グリーフケア協会は、悲嘆は基本的に正常な人に起こる正常な反応だと説明しています。自分を責めずに、今の気持ちをそのまま認めてあげてください。
悲しみはいつまで続く?
悲しみが和らぐまでの長さは人によって違い、決まった期間はありません。名取市保健センターは、時間とともに和らぐことも、心の傷として残ることもあると説明しています。
- 強さや続く長さは、人によって大きく違います(名取市・豊中市)
- 命日や誕生日が近づくと、気分が落ち込むことがあります(八潮市・豊中市)
- 1日の中や、週や月の単位で、気持ちが揺れることがあります(日本グリーフケア協会)
国立がん研究センターの遺族の調査では、亡くなってしばらくたっても、長引く悲嘆を感じる遺族が2〜3割ほどいました。つらさが続いていても、それはあなただけではありません。
命日や誕生日の過ごし方
その日をどう過ごすかを、前もって決めておく方もいます。お墓参りをする、好きだった料理を作る、家族で思い出を話すなどです。
一人で過ごすのがつらいときは、誰かと一緒にいる約束をしておくと安心です。反対に、静かに過ごしたい日は、そう周りに伝えておいて構いません。
悲しみは決まった順番で進む?
悲しみは決まった順番で進むものではなく、行ったり来たりしながら少しずつ変わっていくものです。日本グリーフケア協会は、悲しむ気持ちと立ち直ろうとする気持ちの間を揺れ動くと説明しています。
- 悲しみの「段階」の説明は、目安の一つです
- 前の気持ちに戻ったように感じても、後戻りではありません
- 文化や宗教、時代によっても、悲しみの表れ方は違います(日本グリーフケア協会)
少し落ち着いたと思った後に、急につらくなることもあります。そうした揺れも、多くの人が経験していることです。
自分に合う向き合い方は、どう選ぶ?
悲しみとの向き合い方に正解はなく、自分が少し楽になれる方法を、いくつか試してみるのがよいでしょう。話すことで楽になる人もいれば、書くことや体を動かすことが合う人もいます。
話す
信頼できる人や、同じ経験をした人に、気持ちを聞いてもらいます。
書く・描く
話すのが苦手な人は、気持ちを紙に書いたり、絵に描いたりします。
体を休める
眠る、食べる、休むことを、まず大切にします。
思い出をふり返る
写真を見たり、故人の話をしたりして、つながりを感じます。
日本グリーフケア協会は、悲しみを癒すために、知識を持つこと、十分に悲しむこと、人の助けを受け入れることを挙げています。この後の節で、方法を一つずつご紹介します。
話すことで楽になる?
信頼できる人に気持ちを話すと、つらさが少し和らぐことがあります。豊中市保健所や八潮市保健センターは、話を聞いてもらうことを、自分でできることとして挙げています。
- うまく話そうとせず、思いつくままに話して大丈夫です
- 故人の思い出話をすることも、気持ちの整理になります
- 話したくない日は、無理に話さなくて構いません
家族の中では話しにくいこともあります。友人や、地域の保健師など、少し離れた立場の人の方が話しやすい場合もあります。
話すのが苦手なときは?
話すのが苦手なときは、書く・描く・自然や音楽にふれるなど、言葉にしなくてよい方法もあります。八潮市保健センターは、書くことや描くことで気持ちを表す方法を挙げています。
手紙やノートに書く
故人への手紙や、その日の気持ちを書きます。誰かに見せる必要はありません。
自然の中を歩く
名取市保健センターは、自然や絵、音楽にふれることを挙げています。近所を歩くだけでも構いません。
本や音楽で心を休める
豊中市保健所は、本や音楽で心を休めることを挙げています。
どれも、うまくできなくて大丈夫です。少しでも気持ちが軽くなるものを、続けてみてください。
体のためにできることは?
悲しむことは心と体の力を使うので、十分に眠り、食べて、休むことがとても大切です。名取市保健センターは、悲しむことはエネルギーを使うと説明し、休息と睡眠と食事を勧めています。
- 眠れなくても、横になって体を休める時間をつくる
- 食欲がないときは、食べやすい物を少しずつ口にする
- 泣くこと、休むことを、自分に許す(八潮市)
- 自分のペースで、無理をしない(名取市)
家事や手続きは、手伝ってもらえるものは頼って構いません。日本グリーフケア協会も、人の助けを受け入れることを勧めています。
同じ経験をした人と話せる場所は?
同じように大切な人を亡くした人と話せる「わかちあいの会」や遺族の会が、地域にあることがあります。豊中市保健所や名取市保健センターは、同じ体験をした人と分かち合うことを勧めています。
- 市区町村や保健所が開く、わかちあいの会
- 病院や地域の団体が開く、遺族の会
- がんの患者の家族向けの会(がん相談支援センターで案内があります)
会の情報は、お住まいの市区町村、保健所、精神保健福祉センターに問い合わせると教えてもらえます。国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」も、そう案内しています。
故人とのつながりを大切にするには?
故人を忘れようとしなくてよく、思い出を大切にしながら暮らしていく形もあります。八潮市保健センターは、故人との思い出をふり返ることを、自分でできることに挙げています。
- 写真を見ながら、家族で思い出話をする
- 故人が好きだった場所へ出かける
- 法要やお墓参りで、手を合わせる時間をもつ
- 故人の好きだった花を飾る
曹洞宗は、供養とは故人を忘れないことだと説明しています。浄土真宗本願寺派は、法事を、亡き人を偲びながら自分のいのちを味わう機会と説明しています。
写真立ての小さな写真と、スマホの待ち受けにした写真の見本(架空の人物)写真を身近に置くと安心する方もいれば、しばらくしまっておきたい方もいます。どちらでも構いません。小さな写真を作りたいときは「遺影を小さくしたい」もご覧ください。
周りの人ができることは?
周りの人ができるいちばんのことは、そばにいて、気持ちをそのまま受け止めることです。名取市保健センターは、そばにいるだけで楽になることがあると説明しています。
- 励ますよりも、まず話を聞く
- 手伝いたいことがあると、具体的に伝える(八潮市)
- 返事を急がせない(八潮市)
- 断られたら、少し距離を置いて見守り、待つ(八潮市)
食事を届ける、買い物を代わるなど、暮らしの手伝いが支えになることもあります。言葉が見つからないときは、無理に話さず、そばにいるだけでも十分です。
支える人も、自分を大切に
家族を支える人も、同じ悲しみを抱えていることがあります。真宗大谷派の出版物は、支える側も自分のグリーフを大事にすることを説いています。
子どもが悲しんでいるときは?
子どもにも悲しみの変化は起こり、大人とは違う形で表れることがあります。豊中市保健所は、子どもの反応の例として、泣く、怒りっぽくなる、体の調子をくずすことなどを挙げています。
- 泣くことが増える(豊中市保健所の例)
- 怒りっぽくなる(豊中市保健所の例)
- 体の調子をくずす(豊中市保健所の例)
- 表れ方や時期は、大人と同じように一人ひとり違います
子どもの話を急かさずに聞き、いつもの暮らしのリズムを守ることが支えになります。八潮市保健センターは、家族のことが心配なときも相談の目安に挙げています。
子どもの様子が気になるときは、学校の先生に伝えておくと、家の外でも見守ってもらえます。市町村の保健センターでも、子どものことを相談できます。
笑顔の写真の見本(架空の人物)家族で故人の写真を見ながら話すことが、子どもにとって気持ちを表すきっかけになることもあります。無理に話をさせず、子どもが話したいときに聞いてあげてください。
相談したほうがよいのはどんなとき?
眠れない、食べられない、落ち込みが続くなどで、毎日の暮らしに差し支えが出ているときは、一人で抱えずに相談してください。豊中市保健所は、こうした状態で生活に支障が出たら相談するよう案内しています。
- 眠れない日や、食べられない日が続いている
- 仕事や家事が、長い間手につかない
- 一人で気持ちを抱えるのが、難しいと感じる(八潮市)
- ストレスが続き、体の調子にも影響している(八潮市)
- 1年ほどたっても、亡くなった直後と変わらない強いつらさが続いている(日本グリーフケア協会)
相談は、本人だけでなく、家族や周りの人からもできます。豊中市保健所は、相談は無料で、秘密は守られると案内しています。
どこに相談できる?
つらさを相談できる公的な窓口は、精神保健福祉センター、保健所、市町村の保健センターなどがあります。どこも、お住まいの地域の窓口を探して相談できます。
市町村の保健センター
身近な健康や心の相談を受けています。名取市や八潮市のように、グリーフの相談を案内している市もあります。
名取市保健センターの案内(例)(2026年10月14日に確認)
全国の精神保健福祉センターの所在地と電話番号は、全国精神保健福祉センター長会の一覧で調べられます。病院によっては、遺族のための外来を設けているところもあります。
全国の精神保健福祉センターの一覧
地域ごとに、センターの住所と電話番号が載っています。
全国精神保健福祉センター長会(2026年10月14日に確認)
まとめ
- グリーフケアは、大切な人を亡くした人の悲しみに寄り添い、暮らしを取り戻せるよう支えることです
- 悲しみやつらさは自然な反応で、続く長さや表れ方は人によって違います
- 話す・書く・休む・思い出をふり返るなど、自分に合う方法を少しずつ試してみてください
- 周りの人は、励ますより、そばにいて話を聞くことが支えになります
- 眠れない・食べられないなどで暮らしに差し支えが出たら、保健所などの公的な窓口に相談してください
よくあるご質問
悲しみは早く忘れた方がよいですか?
無理に忘れなくて大丈夫です。思い出を大切にしながら、少しずつ暮らしを整えていく形もあります。
子どもにも悲しみの変化は起こりますか?
起こります。豊中市保健所は、泣く・怒りっぽくなる・体の調子をくずすなどの例を挙げています。
相談するのにお金はかかりますか?
豊中市保健所のように、無料で相談できる窓口があります。病院の外来は費用がかかることがあるので、先に確かめてください。
家族のことで相談してもよいですか?
大丈夫です。本人だけでなく、家族や周りの人からの相談も受け付けている窓口があります。