遺影の飾り方と飾る場所
遺影の飾り方に、法律や全国共通の厳しい決まりはありません。いちばん大切なのは、ご家族が手を合わせやすく、故人を身近に感じられることです。そのうえで、昔からの習わしや、宗派・地域の考え方がいくつかあります。
このページでは、四十九日までと、その後の飾り方を順にご案内します。方角や複数の遺影の並べ方、仏壇がない家での飾り方も、迷ったときの目安としてまとめました。
黒の額に入れた遺影の見本(架空の人物)この記事でわかること
- 遺影の飾り方に決まりはあるのか、迷ったときの目安がわかります。
- 四十九日までと、四十九日を過ぎてからの飾る場所がわかります。
- 仏壇の中や真上、神棚、方角についての考え方がわかります。
- 複数の遺影を並べる順番と、避けた方がよいとされる場所がわかります。
- 仏壇がない家での飾り方と、部屋に合わせた額の選び方がわかります。
遺影の飾り方に決まりはある?
遺影の飾り方に決まりはなく、ご家族が手を合わせやすい場所に飾れば大丈夫です。「こうしないといけない」と、心配しすぎる必要はありません。ただし、習わしとして避けた方がよいとされる場所はいくつかあります。
迷ったときは、次の3つを目安にすると選びやすくなります。
- 手を合わせやすいこと:毎日目に入り、落ち着いて向き合える場所を選びます
- 写真と額を傷めないこと:日の光や湿気が少ない場所を選びます
- 落ちないこと:地震や、物が当たっても落ちないように置きます
宗派や地域によって考え方が違う点は、この後の節で順にご案内します。気になる点は、お付き合いのあるお寺や葬儀社に確かめると安心です。
ご家族で考えが分かれるときは、毎日手を合わせる方の気持ちを大切にすると決めやすくなります。飾る場所は、後から移しても問題ありません。
四十九日までの飾り方
四十九日までは、自宅に「後飾り祭壇(あとかざりさいだん)」を設けて、遺影を飾るのが一般的です。ご遺骨や白木の位牌と一緒に、毎日お線香をあげて手を合わせる期間です。後飾り祭壇は、葬儀社が用意してくれることが多くあります。
形は、2段や3段の台に白い布をかけたものです。並べ方の例は、次のとおりです。
- 遺影は、ご遺骨や位牌と一緒に、上の段に置くことが多いです
- お線香・お花・ろうそく・お供え物を、前に置きます
- 置く場所は、仏壇がある家では仏壇の近く、ない家では落ち着いて手を合わせられる部屋が選ばれます
後飾り祭壇を用意できないとき
住まいの広さによっては、後飾り祭壇を置く場所に困ることもあります。その場合は、小さい机や棚に白い布をかけて、代わりにする方もいます。置き方に迷ったら、葬儀社に相談してみてください。
四十九日を過ぎたら
四十九日の法要が終わったら、後飾り祭壇を片付けて、遺影を仏壇のそばなどに移す方が多くいます。その後の遺影は、おもに次のような場所に飾られています。
- 仏壇のそば(横の台や、仏壇のある部屋の壁)
- 仏間や和室の長押(なげし)
- リビングや寝室の棚(写真立ての小さい遺影)
仏壇のそば
仏壇の横の台や、仏壇のある部屋の壁などに飾ります。毎日仏壇に手を合わせるときに、故人のお顔も見られます。
仏間や和室の長押(なげし)
和室の柱と柱の間に渡された横木(長押・鴨居)に、少し前に傾けて掛ける飾り方です。昔の家でよく見られ、先祖代々の遺影を並べているお宅もあります。掛けるときは、長押用の金具を使い、落ちないようにしっかり固定してください。
リビングや寝室
最近は、家族がいつも過ごすリビングの棚に、小さい遺影を写真立てで置く方も増えています。寝室に飾る場合は、写真立ての小さい遺影にして、目に入る高さに置く方が多いようです。
写真立てに入れて棚に置いた小さい遺影の見本(架空の人物)仏壇の中や上に飾ってもよい?
仏壇の中や真上に遺影を飾るのは避ける方が多いようですが、絶対の決まりではありません。考え方は、宗派やご家庭によって違います。
仏壇の中
仏壇は、ご本尊(仏さま)をおまつりする場所です。そのため、遺影は仏壇の中ではなく、外に飾るものとする考え方があります。特に浄土真宗では、そう考えることが多いといわれます。
一方で、小さい遺影を仏壇の中の下の段に置くご家庭もあります。
仏壇の真上
仏壇の真上に飾ると、ご本尊より故人が上に来てしまうため、避ける方が多いようです。仏壇の上の壁に飾る場合は、真上を避けて、少し横にずらす飾り方もあります。
神棚がある家では
神棚がある部屋に遺影を飾る場合は、神棚より低い位置に飾るとよいとされます。神棚と向かい合う位置も、避ける方がいます。
- 神棚より低い位置に飾る
- 神棚と向かい合う位置は、避ける方もいる
- 迷ったら、お付き合いのある神社やお寺に確かめる
神棚と仏壇の置き方の考え方も、地域やご家庭によって違うようです。無理に決めず、詳しい方に相談してみてください。
飾る方角
方角の決まりにこだわるより、直射日光が当たらず、手を合わせやすい場所を優先する方が多いです。遺影を飾る方角は、南向きや東向きがよいとされることもあります。
- 南向きや東向き(遺影の正面が南や東を向く)がよいとされることがあります
- 窓の正面など、日の光が直接当たる場所は、写真が色あせやすくなります
- 方角の考え方は、宗派によって違うこともあります
気になる場合は、お寺に確かめてください。方角が合わない部屋でも、手を合わせやすければ問題ないと考える方も多くいます。
部屋の形によっては、よいとされる向きに飾れないこともあります。その場合は、日の光が当たらない壁や棚を選べば大丈夫です。窓に近い場所なら、カーテンで日差しをやわらげる方法もあります。
複数の遺影を並べるとき
複数の遺影を並べるときは、向かって右から、亡くなった順に並べる飾り方がよく知られています。夫婦の遺影を並べる場合も、先に亡くなった方を右にすることが多いようです。並べる順番も、地域やご家庭によって違うことがあります。
3枚の遺影を長押に並べた図。向かって右から1・2・3の順です(見本・架空の人物)- 向かって右に、いちばん先に亡くなった方の遺影を飾ります
- その左に、次に亡くなった方の遺影を並べます
- 新しく加わる遺影は、左の方に足していきます
並べるときは、額の大きさや色をそろえると、まとまって見えます。大きさがそろわない場合は、写真店などで同じ大きさに作り直す方法もあります。
夫婦の遺影を並べるとき
先に亡くなった方を向かって右にし、後から加わる方を左に並べる方が多いようです。同じ大きさ・同じ色の額にすると、二人並んだ姿がまとまって見えます。
遺影を飾ってはいけない場所はある?
「飾ってはいけない」と言われる場所の多くは、写真や額を傷めないための理由によるものです。習わしの理由よりも、こちらの理由の方が多くあります。避けた方がよいとされるのは、次のような場所です。
湿気の多い場所
キッチンや洗面所の近くなどです。額の中にカビやくもりが出ることがあります。
エアコンの風が直接当たる場所
急な温度の変化で、額の中に結露が出ることがあります。
落ちやすい場所
地震や、物が当たって落ちると、額のガラスが割れることがあります。
寝ている頭の真上
落ちたときに危ないため、避ける方が多いようです。
どうしても飾りたい場所が当てはまるときは、写真立ての小さい遺影にする方法もあります。小さい額なら、日の当たらない向きに置き直すのも簡単です。
部屋ごとの飾り方
部屋に合わせて飾り方を変えると、住まいになじみ、毎日手を合わせやすくなります。よく選ばれる部屋と、飾るときの目安は次のとおりです。
和室・仏間
仏壇のそばや長押に、大きい遺影を飾る方が多い部屋です。長押に掛けるときは、長押用の金具で固定します。
リビング
家族がいつも過ごすので、故人を身近に感じられます。棚の上に、写真立ての小さい遺影を置く方が増えています。
寝室
写真立ての小さい遺影にして、目に入る高さに置く方が多いようです。寝ている頭の真上は避けます。
どの部屋でも、直射日光と湿気を避けることは同じです。季節によって日の差し方が変わるので、ときどき確かめると安心です。
飾る高さの目安
飾る高さは、手を合わせるときの目線に合わせると落ち着きます。和室で座って手を合わせるなら、座ったときの目の高さが目安です。リビングの棚など立って見る場所では、立ったときの目の高さくらいにする方が多いようです。
長押に掛ける遺影は、見上げる位置になります。少し前に傾けて掛けると、下からでもお顔が見やすくなります。
仏壇がない家での飾り方
仏壇がなくても、遺影を飾って問題ありません。最近は仏壇を置かないご家庭も多く、次のような飾り方が選ばれています。
- 棚やチェストの上に、小さい遺影とお花を飾る
- 手元供養用の小さい台を置いて、遺影や思い出の品を並べる
- 家族がよく過ごす部屋の、目の高さくらいに飾る
- 写真立ての小さい遺影を、旅行先や思い出の品と一緒に飾る
お花や、故人が好きだったものを一緒に置くと、手を合わせる場所らしくなります。置くものに決まりはないので、ご家族らしい形で整えてください。
落ちないように固定する
遺影は、地震や物が当たっても落ちないように、しっかり固定して飾ることが大切です。額のガラスが割れると、写真も傷つくことがあります。
- 長押に掛けるときは、長押用の金具を使います
- 壁に掛けるときは、額の重さに合ったフックを選びます
- 棚に置く写真立ては、奥に寄せて、前に倒れにくくします
- 滑り止めのシートを敷くと、揺れでずれにくくなります
長押や壁に掛けるとき
長押用の金具は、額の重さに合ったものを選びます。掛けた後に、額を軽く揺らしてみて、ずれないか確かめると安心です。壁に掛ける場合も、フックがしっかり留まっているかを確かめてください。
棚に置くとき
写真立ては、棚の端ではなく奥の方に置きます。前にお花やお線香を置くときは、倒れたときに燃え移らないよう、間を空けておきましょう。
部屋に合わせた額の選び方
自宅に飾る額は、黒にこだわらず、部屋の雰囲気に合わせて選んで問題ありません。遺影の額は黒が多いですが、色や素材で印象が変わります。
白や淡い色の額
明るい部屋に合い、やさしい印象になります。
台紙(マット)付きの額
写真のまわりに余白ができ、落ち着いた印象になります。小さい写真でも、額に入れると見栄えがします。
透明なアクリルやガラスの額
写真が浮かんで見え、すっきりします。
デジタルフォトフレーム
複数の写真を切り替えて飾れます。
色の違う額に入れた遺影の見本(架空の人物)額の素材や大きさの選び方は、「遺影の額縁の選び方」の記事でもご案内しています。
額を選ぶときは、写真の大きさに合うかどうかを先に確かめます。四つ切やL判など、印刷する大きさを決めてから選ぶと迷いにくくなります。
先祖の遺影をまとめて飾るには
先祖代々の遺影は、額の色と写真の大きさをそろえて並べると、すっきりまとまります。古い遺影ほど、大きさや額の色がばらばらなことがあります。
- 額の色を、黒や木目などにそろえる
- 写真の大きさを、同じ大きさに作り直してそろえる
- 飾りきれないときは、小さい遺影にして棚に並べる
- 色あせた古い遺影は、色や傷みを整えてから作り直す
並べる順番は、前の節でご案内した「向かって右から、亡くなった順」が目安です。長押に並べきれないときは、一部を小さい遺影にしてもかまいません。
作り直すときは、手元に残っている遺影を写真店に持ち込むか、スマホで撮って画像にする方法があります。額から出して、光が映り込まないように撮ると、きれいに仕上がります。
大きい遺影の扱いに困ったら
大きい遺影を飾る場所に困ったら、同じ画像から小さい遺影を作って飾る方法があります。祭壇の大きい遺影は、今の住まいでは飾る場所に困ることもあります。大きい遺影は、大切にしまっておけば大丈夫です。
- 同じ画像から、L判などの小さい遺影を作って写真立てで飾る
- 大きい遺影は、柔らかい布で包んで、湿気の少ない場所にしまう
- 画像のデータを残しておき、必要なときに印刷し直す
画像のデータを残しておけば、いつでも好きな大きさで印刷し直せます。しまい方は、「遺影はいつまで飾る?」の記事でもご案内しています。
遺影館で小さい遺影も作る
遺影館では、1枚の写真から、大きい遺影用と小さい遺影用の画像を一緒にお渡しします。お写真を選んで、画面の枠でお顔の位置を確かめます。そのあと、5種類の仕上がりをその場でお作りします(目安 約5分)。
- 四つ切用(3500×4200画素):仏間や祭壇に飾る大きい遺影に
- L判用(1226×1750画素):写真立ての小さい遺影に。L判の比に合わせて作るので、印刷してもお顔が切れません
- スマホの待ち受け用(1170×2532画素):いつも持ち歩くスマホに
同じ方の四つ切の形とL判の形(見本・架空の人物)料金は一律3,000円(税込)で、仕上がりを確かめるまでは無料です。印刷と額縁は含まれないので、お近くの写真店やネットプリント、葬儀社で印刷してください。
まとめ
- 遺影の飾り方に決まりはなく、手を合わせやすい場所に飾れば大丈夫です
- 四十九日までは後飾り祭壇に、その後は仏壇のそばや長押などに飾る方が多いです
- 仏壇の中や真上、方角の考え方は宗派で違うので、気になる場合はお寺に確かめます
- 複数の遺影は、向かって右から亡くなった順に並べる飾り方がよく知られています
- 直射日光・湿気・落ちやすい場所を避け、しっかり固定して飾りましょう
よくあるご質問
遺影はいつまで飾ればよいですか?
決まりはありません。一周忌や三回忌を区切りに小さい遺影に切り替える方も、ずっと飾る方もいます。
遺影を飾らないのはいけないことですか?
いけないことではありません。飾らずに大切にしまっておく方や、画像のデータで残す方もいます。
リボンは付けたままでよいですか?
葬儀で付けた黒いリボンは、四十九日を区切りに外す方が多いようです。
遺影に向かって手を合わせてもよいですか?
問題ありません。仏壇がある場合は、まず仏壇に手を合わせる方が多いです。