遺影のお供えと花の選び方
遺影の前に、お花やお茶を供えたいと思う方は多くいます。ただ、何をどう置けばよいのか、決まりがあるのか迷うものです。
このページでは、宗派の公式の説明や、消防などの公的な機関の案内をもとにまとめました。宗派やお寺で考え方が違う点は、違いが分かるように並べています。
棚の上に、花と一緒に置いた小さい遺影の見本(架空の人物)遺影を飾る場所や、飾ってはいけないとされる場所は「遺影の飾り方と飾る場所」にまとめています。
この記事でわかること
- 遺影の前にお供えをしてよいか、仏壇がある家とない家での考え方がわかります。
- 基本のお供え「五供」と、仏壇がない家で用意するものがわかります。
- 花の選び方と、避けた方がよいとされる花がわかります。
- 水・お茶・故人の好物の考え方が、宗派で違う点がわかります。
- 線香やろうそくの火で、気をつけたいことがわかります。
遺影の前にお供えをしてもよい?
遺影の前にお花やお供えを置くかどうかは、ご家族の気持ちで決めて構いません。遺影の前のお供えについて、宗派の公式の決まりは見当たりません。ただし、仏壇がある家では、仏壇に供えるのが基本とされます。
仏壇がある家
お花や灯明、お香は、仏壇に供えるのが基本です。遺影は、仏壇の中ではなく脇などに置くとする宗派があります。
仏壇がない家
遺影のそばに小さな台を置き、花や香炉を並べる方法があります。手を合わせやすい形にすれば大丈夫です。
四十九日までの間
葬儀の後は、後飾りの祭壇に遺影やお骨を置き、お供えをする期間です。詳しくは、この後の節でご案内します。
浄土真宗本願寺派は、遺影は仏壇の中に置かず、脇などに置くと説明しています。真宗大谷派は、仏壇(お内仏)に写真は飾らないと説明しています。
基本のお供え「五供」とは?
仏教のお供えの基本は、香・花・灯明・水・飲食の5つで「五供(ごくう)」と呼ばれます。曹洞宗は、この5つを基本のお供えとして説明しています。すべてをそろえなくても、できる形で供えれば大丈夫です。
香(こう)
線香やお香です。曹洞宗は、煙ではなく、よい香りを供えるものと説明しています。
花
生花を供えます。本願寺派や浄土宗は、花の種類に特別な決まりはないと説明しています。
灯明(とうみょう)
ろうそくの明かりです。智慧(ちえ)を表すと説明する宗派があります。
水
お水やお茶です。宗派によって考え方が違うので、後の節でご案内します。
飲食(おんじき)
ご飯やお菓子、果物です。曹洞宗は、家族が食べる食事を供えてよいと説明しています。
香・花・灯明の3つは、臨済宗や天台宗なども基本のお供えとして挙げています。浄土宗は、香は慈悲、花は広い心、灯明は智慧を表すと説明しています。
仏壇がない家では何を置けばよい?
仏壇がない家では、遺影のそばに香炉・ろうそく立て・花立ての3つを置けば、手を合わせる場所になります。この3つは「三具足(みつぐそく)」と呼ばれる、お供えの基本の道具です。浄土宗は、三具足を香炉・燭台・花立てと説明しています。
- 遺影を置く台を決めます。棚やチェストの上でも構いません
- 遺影の前に、香炉・ろうそく立て・花立てを並べます
- お水やお茶、季節の果物などを、無理のない範囲で供えます
- 毎日でなくても、手を合わせたいときに整えれば大丈夫です
仏壇がない家で、写真立ての小さい遺影を置いた見本(架空の人物)台が小さいときは、花だけ、お水だけでも構いません。大切なのは、故人を思って手を合わせることです。
毎日のお世話の目安
臨済宗は、茶湯を毎朝新しくすると説明しています。花の水も、できれば毎日替えると長持ちします。
忙しい日は、手を合わせるだけでも大丈夫です。続けやすい形を、ご家族で決めておくと気持ちが楽になります。
お彼岸やお盆のお供え
季節の行事には、その時期の食べ物を供える家もあります。浄土宗は、春のお彼岸に牡丹餅、秋におはぎを供え、お下がりとしていただくと説明しています。
お盆の飾りやお供えは、地域や宗派で大きく違います。迷ったときは、お寺や、地域のことに詳しい親族に聞いてみてください。
遺影に供える花の選び方
遺影に供える花は、季節の花や、故人が好きだった花を選んで大丈夫です。浄土真宗本願寺派は、仏花は季節の花でよく、種類の決まりはないと説明しています。浄土宗も、故人が好きだった花を供えてよいと説明しています。
- 季節の花:手に入りやすく、季節を感じられます
- 故人が好きだった花:思い出を話すきっかけになります
- 長持ちする花:菊などは、水を替えれば長く飾れます
- 小さな花束:台が小さいときは、量を絞ると遺影のお顔が引き立ちます
浄土宗は、菊が仏花の代表とされる理由に、長持ちすることなどを挙げています。花は、拝む人の側に向けて供えると説明する宗派があります。
花は、水を毎日替えて、枯れる前に取り替えると気持ちよく飾れます。日蓮宗のお寺の説明でも、枯らさないように供えるとされています。
避けた方がよいとされる花は?
とげのある花、においの強い花、毒のある花は、避けた方がよいとされます。浄土真宗本願寺派と浄土宗の公式の説明に、同じような花が挙がっています。
とげのある花
本願寺派・浄土宗の両方が、避ける花に挙げています。バラなどを供えるときは、とげを取る方もいます。
においの強い花
本願寺派は悪臭のある花、浄土宗は臭いの強い花を、避ける花に挙げています。
毒のある花
本願寺派が、避ける花に挙げています。小さな子どもやペットがいる家でも、気をつけたい点です。
造花
本願寺派は、造花を避けると説明しています。一方で、造花を使う家庭もあり、宗派やお寺で考え方が違います。
「花びらが落ちる花は縁起が悪い」といった話を聞くこともあります。こうした言い伝えは、宗派の公式の説明では見当たりませんでした。
水やお茶は供える?
水やお茶を供えるかどうかは、宗派によって考え方が違います。曹洞宗や臨済宗では供えますが、浄土真宗本願寺派は、過去帳の前に水や食べ物を供えないと説明しています。
曹洞宗
五供の中に、お水が入っています。茶湯器(ちゃとうき)にお茶やお水を供えます。
臨済宗
茶湯は毎朝新しくし、ご飯は炊いたら最初に供えると説明しています。
浄土真宗本願寺派
過去帳の前に、お水や食べ物は供えないと説明しています。華瓶(けびょう)という器に水を入れることはあります。
ほかの宗派でも、お寺によって考え方が違うことがあります。ご家族の宗派が分からないときは、葬儀のときのお寺に聞いてみてください。
故人の好物は供えてよい?
故人の好物を供えてよいかは、宗派によって考え方が分かれます。家族の食事や好物を供えてよいとする宗派がある一方で、好物は供えないとする宗派もあります。
供えてよいとする説明
曹洞宗は家族が食べる食事を、浄土宗は家庭の食事を供えてよいと説明しています。神社本庁は、先祖のまつりに故人の好物を加えてもよいとしています。
控えるとする説明
本願寺派は、お酒やたばこを好物だからと供えるのはふさわしくないとしています。真宗大谷派は、故人の好物は供えないと説明しています。
供えた後のお供え物は、無駄にせず、家族でいただくのがよいとされます。曹洞宗は、お供えは皆でいただくと説明しています。浄土宗も、お下がりとしていただくと説明しています。
- 傷みやすい物は、長く置かずに下げる
- 生ものや汁物は、夏は特に早めに下げる
- お供えの前に、包装をはずしておくと供えやすい
線香の供え方
線香の本数や立て方も、宗派によって違います。本数や立て方にとらわれすぎず、ご家族の宗派の作法を確かめておくと安心です。
浄土真宗本願寺派
ふだんの線香は、短く折って寝かせて燃やすと説明しています。
臨済宗
線香の本数に、強くこだわらなくてよいと説明しています。
曹洞宗
線香は、よい香りを供えるものと説明しています。香りが苦手なら、ほかの香りで代えてもよいとしています。
煙やにおいが気になる住まいでは、煙の少ない線香を選ぶ方もいます。火を使わない電池式の線香もあります。
ろうそくや線香の火で気をつけることは?
ろうそくや線香を使うときは、火をつけたまま、その場を離れないことがいちばん大切です。消防の機関は、仏壇や神棚のろうそくによる火災に注意を呼びかけています。
- 火をつけたまま、その場を離れない(京都市消防局・大津市・蒲郡市)
- ろうそくは専用の燭台に、まっすぐ立てる(大津市・蒲郡市)
- 周りに燃えやすい物を置かない(京都市消防局)
- エアコンや扇風機の風が当たらない場所に置く(蒲郡市)
- おつとめの後は、灯明を消すことを忘れない(真言宗豊山派)
京都市消防局は、ろうそくの火災の約半数が、倒れたことによると伝えています。神棚の造花の榊が溶けて、炎に触れて火が出た実験も紹介しています。
四十九日までのお供えは?
四十九日までは、後飾りの祭壇に遺影やお骨を置き、灯明や線香を供えて手を合わせる期間です。全日本葬祭業協同組合連合会は、忌明けまで毎日、灯明と焼香をすると説明しています。
- 後飾りの祭壇は、白い布をかけた2〜3段の台です
- 全日本葬祭業協同組合連合会は、仏壇の前、仏壇がなければ北か西に置くと説明しています
- 真宗大谷派は、中陰(四十九日まで)の間、色のある花ではなく緑の木花を使うと説明しています
浄土真宗のあるお寺は、お骨の前に線香や花を飾らず、仏壇の三具足で供えると説明しています。四十九日までの供え方は宗派やお寺で違うので、葬儀社やお寺に確かめると安心です。
葬儀の後に飾る、黒い額の遺影の見本(架空の人物)神道の家ではどう供える?
神道の家では、先祖や故人は、神棚とは別の御霊舎(みたまや)でまつるとされます。神社本庁は、先祖のまつりを神棚とは別の御霊舎で行うと説明しています。
- お供えは、お米・お酒・塩・水などが基本です
- 先祖のまつりでは、故人の好物を加えてもよいとされます
- 御霊舎を神棚の下に置くときは、神棚より低い位置にします
- 亡くなってから五十日祭までは、神社へのお参りを控えるとされます
遺影を飾る位置も、神棚より低くするのが目安になります。詳しくは、お付き合いのある神社に確かめてください。
お供えはどう並べる?
お供えは、遺影のお顔や仏さまを隠さないように、手前に並べるのが基本です。真宗大谷派は、本尊が隠れないように気をつけると説明しています。
- 香炉は中央、ろうそくは向かって右、花は左が一つの例です(臨済宗の三具足の説明)
- 果物やお菓子は、手前に左右そろえて置きます(本願寺派の説明)
- 遺影のお顔に、花や物がかからない高さにします
- 花の水がこぼれても、額や写真がぬれない位置にします
並べ方は宗派で違う点もあるので、例として参考にしてください。台が狭いときは、すべてを並べなくても大丈夫です。
お供えのそばで遺影を傷めないために
花の水や湿気、ろうそくの熱から、遺影の写真と額を離しておくと長持ちします。写真は、湿気や熱、日の光で傷みやすいものです。
- 花瓶は、額から少し離して置く
- ろうそくの炎や熱が、額に届かない距離にする
- 湿気がこもる場所を避け、風通しをよくする
- 日の光が直接当たらない場所に置く
国立国会図書館は、資料の保存では湿度65%を超えるとカビが出やすくなると説明しています。家庭の写真も、湿気の少ない場所に置くと安心です。
色の違う額に入れた遺影の見本(架空の人物)遺影館で小さい遺影を作る
棚にお供えと一緒に飾る小さい遺影は、遺影館で1枚の写真から作れます。お写真を選んで、画面の枠でお顔の位置を確かめます。そのあと、5種類の仕上がりをその場でお作りします(目安 約5分)。
- L判用(1226×1750画素):写真立てに入れる小さい遺影に
- 四つ切用(3500×4200画素):仏間に飾る大きい遺影に
- スマホの待ち受け用(1170×2532画素):いつも持ち歩くスマホに
同じ方の四つ切の形とL判の形(見本・架空の人物)料金は一律3,000円(税込)で、仕上がりを確かめるまでは無料です。印刷と額縁は含まれないので、お近くの写真店やネットプリントで印刷してください。
まとめ
- 遺影の前のお供えに宗派の公式の決まりは見当たらず、ご家族の気持ちで決めて構いません
- 仏壇がない家では、香炉・ろうそく立て・花立ての3つがあれば手を合わせる場所になります
- 花は季節の花や故人が好きだった花でよく、とげ・強いにおい・毒のある花は避けるとされます
- 水やお茶、故人の好物の考え方は宗派で違うので、迷ったらお寺に確かめます
- ろうそくや線香は、火をつけたまま離れず、子どもやペットの手が届かない所に置きます
よくあるご質問
遺影の前に毎日お供えをしないといけませんか?
決まりはありません。手を合わせたいときに、できる範囲で整えれば大丈夫です。
仏壇がなくても、お線香をあげてよいですか?
問題ありません。香炉を用意し、火をつけたまま離れないように気をつけてください。
造花やプリザーブドフラワーを供えてもよいですか?
浄土真宗本願寺派は造花を避けると説明しています。考え方は宗派で違うので、お寺に確かめると安心です。
お供えした食べ物はどうすればよいですか?
傷む前に下げて、家族でいただくとよいでしょう。曹洞宗や浄土宗も、いただくことを勧めています。